『機動警察パトレイバー』 ゆうきまさみ

機動警察パトレイバー (1) (小学館文庫)

機動警察パトレイバー (1) (小学館文庫)

パトレイバーといえば、映画の三部作しか見ていない人ですが、組織の中での話が読みたくなったので読みました。


レイバーの設定は有り体に言えば、「無理のないロボット」というとこでしょうか。ロボットにどんなロマンを持って見るかにもよりますが、ことアニメに登場するロボット系列の中ではサイズなどの設計に無理がない、現実感あるロボットものです。まぁパトレイバーに関してはレイバーよりも人間ドラマって感じです。


序盤から全編にわたって登場する内海課長という人物が好きです。この人は子どもが大人になったかのような人ですが、「手段のためには目的を選ばない人」と称されるほどに、プロセスを楽しめる人です。こうも悪役みたいなポジションでありながら、企業人ってところが良いですよね。まぁ私は悪役とは思っていませんけど。

でもまぁ何よりも黒崎さんですよ。こんな課長の代理なんて本当に大変ですもん。彼はどちらかと言えば秀才タイプで、先が見通せるのは数歩先までの人間です。状況によっては最後まで付いてきてくれる部下ではないですが、それでもなんだかんだで好きです。この無茶な上司の行動に付いていく彼はすごい。

変な大人もいるのがこの作品の好きなところですが、途中に登場する外国人労働者が、そこの社長にかなりひどい扱いをされていても、心は歪まず、正しさを失わずに生きているのがとても素晴らしいですよね。周りの環境に壊されず、自分の正義を信じられるのは。