『老ヴォールの惑星』 小川一水 環境と主体というテーマ

面白かった。SFとかって大好きなんですが、ハードSFみたいなものはまったく読んだことがないかなりライトなSFファンであるために、この人の小説はSF初心者にはすごく読みやすい。短編集なので気軽に読める。


「幸せになる箱庭」はトランザウトという攻殻の電脳みたいな全感覚で没入することのできる技術が存在し、そこで起きる事象は現実の宇宙の一般法則に従い完全に再現された、現実と区別のつかない世界であり自分の理想とする振る舞いを行う世界があるとしたら、現実に価値はありますか?って話なんですが、それを不確実性以外に価値がないという思考に達した知的生命体に言われるのだから辛い。プロセスを経ずにそれを否定するなんてできない。