『ナニワ金融道』 青木雄二

ナニワ金融道(1) (講談社漫画文庫)

ナニワ金融道(1) (講談社漫画文庫)

いつの日か、NHKマンガ夜話の再放送で「ナニワ金融道」が取り上げられていて、すごく気になったので読みました。いやーさすがに名前だけは以前から知っているマンガでしたが、非常に面白いです。別段、今読んで時代感があるからとか、そういうのはどうでも良くなる面白さ。

主人公が、いやそもそも絵柄が、ヤル気あるんだかないんだかみたいな絵で、ちょっと笑ってしまうときもわるんですが、マンガ夜話では作者はきっと本気でこれを書いているですよ!と、その他にも書き込みによる貧富の差の表現など、解説されればされるほどに見た目の印象よりも、かなりの情報量が詰め込まれていることに驚きます。

話の基本は、金融屋がいかにカモを見つけて、そいつから金を搾り取るかというのがメインとなっていて、その悲劇とも言える出来事を仕事として主人公は最初、戸惑いながらも実行し、それに翻弄される人々が面白いわけです。途中、こんな焼畑農業みたな、何も産まない商売などではなく、もっと生産性のある投資を行いたいと、主人公が社長に言い寄りますが、そんなベンチャーキャピタルみたいなことがやりたいなら、自分の金でやれと突っぱねられる。最後のほうではある意味迷走というか何とも言えない終わり方をします。まぁゼロ号手形の話はたしかに面白いし、このマンガらしいエピソードでした。何よりも良かったのは、主人公の彼女がどんな状況になったとしても彼の支えであり続けることでした。さすがに最期のエピソード今までの中かで一番最悪と呼ぶべき状況で、主人公も諦めかけていたのを立ち直させるシーンは割とこのマンガ一番の感動したシーンかも。