『去年はいい年になるだろう』山本弘
- 作者: 山本弘
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2012/09/18
- メディア: 文庫
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2001年9月11日に「ガーディアン」と名乗るアンドロイドたちが「人類を不幸な未来から守る」という大義名分の元に24世紀からやってきたというお話。これが少し変わっているのは、作者自身が登場するということ。そして何より可能な限り現実に即した出来事をベースに、語られる物語であるのが面白い点ですね。ユーモアを多少理解するアンドロイドが「ええ…対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース。それが私」なんて言ってしまうあたり好きです。
ここでのアンドロイドはアシモフの三原則のように人間のために存在するロボットであること、つまり彼らの最大欲求は人間を守ることにある。そして彼らは、24世紀の今よりもずっと人が理性的になった世界で、過去の人類を救おうと思った人々によって作られている。でも、「人類を救う」って何?ことがあります。
彼らは「未来に起こるであろう悲劇から、人間が自分たちの手で回避することが不可能である事柄から守る」という。
- 作者: 赤松健
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/05/17
- メディア: コミック
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しかしながら、行為の是非を問う前に彼らの手段の方にも問題がある。彼らが行なっている過去改変とは何か?つまりはタイムトラベルとはある時間軸を起点に一つも同じ世界には辿りつかない、まぁSFが好きなら誰でも知ってる多世界解釈です。そう、彼らが救おうとした悲劇は、新たな平行世界を生むだけで本当に救おうと思っている人たちは救われないであろうということ。でも彼らの目的の面白いところはそれは事実として認めた上で、自分たちの行動によって、より救われた世界を増やすことを目的している点でしょう。感情的でないアンドロイドであるからこそ、目の前で死んでしまう一人の人間よりも全体で救えるより大多数の人間のために行動する。
話を整理していくと、ガーディアンはこれらの問題点を認めた上で、人類全体のために行動します。ようは世界一つだって必要とあらば見捨てます笑。それって救われる側にとっては、こちらの意志を無視している存在なわけだから許せない…となります。誰だって、自分を救ってくれない奴なんてどんなに素晴らしい大義名分を語ろうが、どうでもいいもんです。
- 作者: うえお久光,綱島志朗
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/07/10
- メディア: 文庫
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- 作者: アルフレッド・ベスター,寺田克也,中田耕治
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/02/22
- メディア: 文庫
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いろいろ書いてきましたけど、この作品で面白いのは、僕らが生きる現実を舞台に語られる物語だからでしょう。未来って本当に分からない。岡田斗司夫の名前が出てきたり、小川一水が登場したりと、実在する人物をもって、こうなるだろうだろうとする展開が描かれる。1999年に渡航する際にはノストラダムスと勘違いされないためにはどうすればいい?とアンドロイドに問われるのは笑うしかない。