『攻殻機動隊ARISE』 黄瀬和哉監督

攻殻機動隊ARISE (GHOST IN THE SHELL ARISE) 1 [Blu-ray]
たぶん、神山健治監督のシリーズが好きな層には受けないだろうなぁという映画でした。

まぁ言ってしまえば分かりやすく面白いエンターテイメント性の高い作品ではないってことですね。何と言っても少佐のスーパーハッカーかつ無敵なキャラクター性が失われて、わりと凄いけどちょっと普通に近くなりました。天才ハッカーでありながら、軍人としてもパーフェクトな超人キャラの草薙素子少佐が解決するというのがポイントでもあったんだなーというのが今作を見ての感想。とはいっても、攻殻機動隊シリーズというのは、原作、押井守のGHOST IN THE SHELL、神山健治のS.A.Cと全てが全て別物の作品なので、連続性自体を期待するのは間違っています。


細かなガジェット群も多少変化していて、タチコマもロジコマに変わっています。声が沢城みゆきの可愛い声になっていてみゆきちファンとしてハッピーでした笑。ただ新しいアイディアは特になかったですねー。

今作のテーマは「今見えている現実は本物なのか?」ということです。原作の少佐のセリフにも「私時々「自分はもう死んじゃってて今の私は義体と電脳で構成された擬似人格なんじゃないか?」って思うことあるわ」なんてのがあります。

序盤に何も物理的には何も異常がないのに義体の手が痛むというシーンがあります。実際の話としても、腕を失っている人がもうすでにない腕の痛みを感じるという幻肢という症状があります。身体的なフィードバックがなかったとしても痛みを感じるということは、脳の神経回路網はないものを感じるためのニューロンネットワークが存在すること。そしてそれは脳が感じる身体的イメージも現実と一致していない場合があり、不確かだということが分かります。

脳のなかの幽霊 (角川文庫)

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ただ今回はこの話はほとんど話題提示くらいに過ぎなかったので今後どれだけこの話を深めていくかが気になります。まぁ他のシリーズの少佐は人格の統合すら行なっているので、自分とは何者か?今考えている意識は本物なのか?なんてステージはとっくに超えた人なんですよね笑。