『零戦 その誕生と栄光の記録』 堀越二郎

零戦 その誕生と栄光の記録 (角川文庫)
映画「風立ちぬ」を観て、どうせならと読んでみた本でしたがとても面白かった。様々に異なる要素を詰め込んだ作品ではあっても、「飛行機を美しい」と思う情熱だけは変わらなかった。

零戦の凄さというのは語る必要もなく、設計の困難さは映画では描く尺もまた重要なポイントでもなかったので詳細には語られませんでした。でも、やっぱりあの墜落事故の機体を見ている堀越二郎の絵が特に印象的でした。この本は当時の主任設計者である堀越二郎本人が書かれています。試作機が組み上がって以降の出来事もきちんと語られていてそこに、その前人未踏の領域へ挑戦する喜びとその厳しい現実がある。なぜ、機体が分解してしまったのか?そこにはきちんとした推論とその実証が必要で、非常に少ない材料から考えていく。仕事としては最高峰なのはもちろんですが、もの凄くカッコいいですよね。無理難題と言われた海軍からの要求仕様を実現させようと、ギリギリまで頑張るし、時間や技術との兼ね合いをバランスを見ながら調整する。

これを読んでたらまた風立ちぬを観たくなった笑。