『エンダーのゲーム』オースン・スコット・カード

エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))
二度にわたる昆虫型異星人の侵攻をかろうじて阻止した人類は、第三次攻撃にそなえ、圧倒的な数を誇る敵を人類の限られた兵力で倒すためにアレキサンダーカエサルのような天才司令官を養成すべく、バトルスクールは設立された。そこではあらゆる訓練に最優秀の成績を修めた天才少年エンダーがいた。

と設定は結構好みなんですが、この人のSFの定義というというのがあくまで舞台設定にリアリティを持たすために用いるにすぎないというスタンスであるので、そっち方面には比重をおいてストーリーを展開しません。あくまで人間がメインの話です。エンダーという一人の少年が世界を救うというストーリーであるけれども、そのほとんどが彼の成長の物語です。天才であることが彼を孤独にし、彼の人生をひどく辛いものにしていく。自分の趣味から言えば、あんまり好みではないですが、天才をきちんと描いていることと、結果的に侵略者を倒してしまったことに悩む英雄エンダーというのはすごく良かった。この作品は勝利して以降が本当のテーマですね。最終章の死者の代弁者というのは続編のタイトルでもあるので読んでしまうと「死者の代弁者」を読むしかありませんね(笑)

死者の代弁者〈上〉

死者の代弁者〈上〉