『アルゴ』 ベン・アフレック監督

アルゴブルーレイ&DVD (2枚組)(初回限定版) [Blu-ray]
事実は小説よりも奇なり。


まさに言葉が合う映画。
How the CIA Used a Fake Sci-Fi Flick to Rescue Americans From Tehran | WIRED

79年11月4日、イラン革命のさなか独裁的な前国王の入国を認めたアメリカに対して激怒した者たちが、抗議のためテヘランにあるアメリカ大使館を占拠。52人の大使館員らが捕らえられる。スパイだと糾弾された彼らは、イラン政府のもと軟禁状態に置かれた。しかしこのとき、6人の館員が裏口から密かに逃げ出していたことはまだ誰も知らない。それを知るのは数カ月後、彼らが飛行機から降りてアメリカの土を踏んだときだった。
アカデミー賞を受賞した『アルゴ』と『WIRED』の、知られざる関係|WIRED.jp

ポリティカルサスペンスとあるだけあって、とても緊張感のある内容だった。非常にデリケートな状況での出来事であり、小さな情報漏洩が致命的なミスとなる。まさしくCIAの仕事で求められる要素なだけに、絵的な派手さはないがそれゆえ面白かった。実際の作戦は映画よりもさらに地味であったろうし、それこそ映画的な演出がなされている部分があるのも良く分かる。WIREDの記事にもあるように最後のシーンなんかは心理的な状況を表す意味ではたしかにドキドキしたが、実際にはあり得ない事だ笑。でも、それがスリリングなエンターテイメントとして観てる分には良かった。映画みたいな事実の出来事を映画らしく撮っているという意味ですごくアメリカらしいかもしれない。

だいたい、そもそもの脱出作戦が、架空の映画製作をでっち上げ、そのロケハンに来たスタッフになりすまして飛行機で帰国するという非現実的な内容なのだから笑。CIAがこれを立案したというのだから凄い。

あまり普段は諜報ものは観ていないのでいろんなシーンでなるほどなーっと思った。CIAに関係しないところでも、情報管理の難しさはとても実感した。当時はまだ紙ベースでの情報管理であったが故に消却での消去やシュレッダーによる処分しか手段がなかったわけですが、あのデモから侵入までの短時間では処理しきることができなかった。実際問題、今でもHDDなどの情報の消去も一番確実な方法は物理的な破壊にはなるんですが、ああいった大使館などでも高度なセキュリティ管理になっているのかどうなのか。そういった情報管理や外交での難しさはすごく感じ取れる映画だった。

この手の映画はだいたいそうですが、特典映像にあったドキュメンタリー的な映像で、史実がどうであったかも観ながら楽しむのがちょうど良い。とはいっても政治色が入らざるを得ない事件ではあるので、少し気になってしまう部分はあった。一番感動したのは、カナダ側の首相と外相だったかな?がアメリカ人である彼らにパスポートを発行する際に議会での承認を得る必要があり、非常に長い会議の最後にその議題を出し、上手く意図がバレないように通過させたことだったなー。まぁこれくらいのことは彼らぐらいの立場になれば出来なければいけないくらいなのだろうが、そういったのってすごく大事だなと思った。