『琴浦さん』 太田雅彦監督
とても良かった。
あの一話がなければここまで引込まれることもなかったかもしれない。この絵柄とシリアスさのセットで見るしかないって思った。OPも結構好きでしたし。途中の回のつるぺたEDは最近じゃ一番笑ったかもしれません。内容がシリアスなことが多い琴浦さんは展開のギャップが激しいのでそこも見ていて良かったところだと思います。今でこそノンストレスなアニメが多いので、これくらい重い内容のアニメがたまにはあると嬉しい。
一面の真実として、理解不能な子供を持ってしまった親の恐怖っていうのは仕方がない。「アルジャーノンに花束を」でも、精神遅滞の子供を持った親が、自分のせいなのではないか?と心を病んでいく。琴浦さんでもお母さんはその自分の正しさの証明をある意味求めて、苦しんでいる。そして、超能力によって全てが見通されてしまう恐怖に耐えられなくなり、その子供を受け止めきれなくって去っていく。
- 作者: ダニエルキイス,Daniel Keyes,小尾芙佐
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1999/10/01
- メディア: 文庫
- 購入: 75人 クリック: 1,445回
- この商品を含むブログ (251件) を見る
琴浦さんの超能力のネックは人間関係のスタートの時点からすべて見えてしまうこと。この場合に求められるのは、最終話でたどり着いた、喧嘩をすることなんですよね。親子だから成立する部分も大きいですが。おじいさんや、和尚さんのように自分のすべてを受け止めきれている人たちには、琴浦さんは恐怖の対象にはならない。もの凄く単純であるけど、お互いのダメさを非難し合えるまでに持っていくことが全てなんですよね。そして言葉にすること。
そのきっかけのキーマンとして表裏のない真鍋君がとてもカッコいい主人公だった。