『僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる』 松井 博
今更この本?という感じもしますが、Kindle版が安かったので試しに買ってみました。iPhone5のKindleでこういう新書を読むのはどうなのかな?という側面もあって、読み進めましたが、新書レベルであればむしろiPhoneだけで完結してしまうので非常に便利だと思いました。
筆者の松井さんはちょうど「企業が「帝国化」する」なんかを書いていてAppleの混迷期からiPhone発売と一番面白い時期に在籍していた人で、今は自分で会社を立ち上げて幼稚園の経営なんかをされている方です。肝心の内容なんですが、そうスティーブ・ジョブズの伝記にも書かれていたように「どうやって高いレベルの仕事をやってもらうか?」これに尽きると思います。組織で一番難しいことは、高水準の仕事が行える環境づくりにあり、基本的なことながら一番ネックになる部分だとは思います。
- 作者: ウォルター・アイザックソン,井口耕二
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/10/25
- メディア: ハードカバー
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ジョブズも退任し、まともにコントロールが効いていなかった頃のAppleはまるで学園祭のような空間だったと書かれていて、よくも悪くもギークな人たちが集まって創業間もない会社の最も悪い部分だけが残ってしまっていたのでしょう。今では非常に厳しい人であったという評判があるようにAppleに戻ってからのジョブズは徹底して厳しい対応をとることでその社員のパフォーマンスが最大になるように行動していきました。
筆者が管理職として行ってのはその環境づくりでありそこがメインとして書かれています。実際にオフィスの環境っていうのは仕事をしていれば多くの人が接するものなので非常に面白かったです。ただ後半で書かれている上司との接し方というのは競争が上手く機能している会社での話であるので、あまり一般的な話とはいえないでしょうね。まぁそこは個々人の環境によるものが多いので、社内政治の話も含めてAppleでの経験談はそこまで参考にはならないでしょう。
新書としてはそこそこ楽しめたので悪くないと思いますがAppleの話そのものには期待すべき本ではないです。