『2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い』 Hagex

2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い (アスキー新書)
どうせ楽しむのならば真面目に読んでみようという本。

今の世の中で暇つぶしに何を見るかと言われたときに、2chまとめブログなどを見ている人は非常に多いでしょう。これらは非常にキャッチーな内容かつ、長すぎないエピソードで暇つぶしにとても適しています。ただ、それらの多くには釣り師と呼ばれる人たちが書いた架空のエピソードが含まれています。単純にエンターテイメントとして楽しむ分には何ら問題はないと言えますが、嘘が嘘であることに気付けなくなるのもまた良いとは言えないことでしょう。

それらを長年眺め続けていく中で気づいたその特徴やポイントについて書かれています。著者のHagexさんは2chのエピソード観察記などを行っていて中々説得力のある内容です。
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中でも面白かったのが、この視点。

釣り師の偽エピソードは、読者と釣り師の対決でありスポーツである。一方、デマは社会を混乱させるエピソードであり、読者のデマ判定は「妖怪退治」である。

元々、発言小町なんかのエピソードの真偽というのは実際どうでも良くて、あくまでどう楽しむかというものだとは昔から思っていました。なので、ある種のスポーツというのは納得感のある言葉でした。でも、デマに対する味方が「妖怪退治」っていうのは言えて妙ですね。

偽エピソードには一体何の意図があるのかを考えるのは、結構面白いです。文中でも書かれているのがみんな高校生まではずっと現代文で「作者の意図を述べなさい」と言われ続けていたのに、インパクトのある文に気を取られ、全体でのテーマは何なのかを見落としがちなんです。

そういう意味で、改めて文章を読む行為に対しての姿勢を思い出させてくれる面白い本でした。