『死ねばいいのに』 京極夏彦

文庫版 死ねばいいのに (講談社文庫)

文庫版 死ねばいいのに (講談社文庫)

なるほど、西尾維新が好きならば京極夏彦を読んでいないのはおかしいという人がいたので読んでみましたが納得。憑き物落としとはなるほどね。好き嫌いが分かれそうなのもまた同じ。初めて読んだ作品がこれなので、正しくこの作家を捉えることができているかは分からないが、否応なく説教臭いというか、強すぎるメッセージに溢れているのは確かなんだと思う。そしてそれが好きだと思ったことも。

他の人がどうであるかはともかく、自分は自分のことさえも分からないで生きて、そして他人を理解していないで自分の都合で世界を見てしまう。カエサル的に言えば、「人間とは噂の奴隷であり、しかもそれを、自分で望ましいと思う色をつけた形で信じてしまう。」ってやつですね。そして、どんなに違うと思ったって、特別なことなんて世の中にはほとんどないと言っていい。どう感じていようがそれはありふれたことでしかない。そうしているのは自分でしかない。6人による語りのどれもがいわば同じ事の繰り返しで、それが鬱陶しさなのかもしれないけれど、そのどれかで思う人もいるはず、自分の身勝手さに。まぁそんなことは思わない人いるかしれないけど笑。

それでも、どんなところに自分がいたとしても生きたいと思う側にいるのならば、それはやっぱり生きるしかない。