『天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬の銀河 』 小川一水

天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬の銀河

いつか読もうと積んでいたSF大作である天冥の標をこの機会に読み進めています。

 

昔読んだ時は「天冥の標IV 機械じかけの子息たち」の途中で止まってしまいました。ラバーズと呼ばれる人間に奉仕するアンドロイドの話で、ちょうど中盤あたりで退屈だったんですよね。今回、最後まで読み進めると、ああなるほど、こうやって全体の物語に接続されていくのかと分かると面白く読めました。

 

天冥の標は超大作SFであるからにして、序盤は一体何の話をしているのか分かりません。特に一巻はそれが顕著なので、「天冥の標Ⅱ 救世群」から読んで、一巻に戻るのもアリだと思います。

 

「天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬の銀河 」では、ようやくダダーの物語が明らかにされます。ダダーとその敵であるオムニフロラとの戦いは宇宙を巡る壮大な物語でありつつ、知的生命体が最後に辿り着く究極の生存競争の話でした。ここまでくると、この物語の中心人物たちがどのような立ち位置にいるのかが判明し、面白くなってきました。